営業ものがたり

営業ものがたり

 
西原理恵子の新作は、「ビックコミックスペリオール」に連載していた、「上京ものがたり」と「女の子ものがたり」の間なんかに書かれた、おまけ漫画を集めたもの。それに、以前発表した、「ぼくんち」の番外編「朝日のあたる家」も収録されています。
 
西原といえば、「ぼくんち」に代表される「叙情派」と呼ばれる路線と、真っ黒に毒をはきまくるギャグ漫画路線を両立させている漫画家ですが、本作は、この両方が交互に出てきて、非常におもしろいです。ただ、それだけに、読む人を選びそう・・・。さらに今作は、「毒」の部分が非常に濃く、叙情派路線の「上京ものがたり」「女の子ものがたり」ののりで買った方や、最近ヒットしている「毎日かあさん」で彼女を知った方には、衝撃が大きいかもしれませんね(笑)。
 
個人的には、今回、この冴えまくっている「毒」路線も大好きだったのですが、やはり「朝日のあたる家」が単行本化されたのがうれしかったなぁ。そして、なによりも注目は、帯にもなっている短編「うつくしいのはら」。西原が、戦争とは、平和とはを鋭く切り取った、非常に心にしみて、そして考えさせられる作品です。この短編を読むだけだけで本作を購入してももとがとれるかも。彼女の才能を、あらためて実感させられる作品でした。